コラム

2006/01/27

戦国の世の夫婦二人三脚(水・KK)

2006.01.27 【戦国の世の夫婦二人三脚】

▼また、楽しみな番組が始まった。今年のNHK大河ドラマ『功名が辻』。自分のへそくりで夫に名馬を買わせた山内一豊の妻千代の内助の功を描いた物語である

▼千代という名前はさほど知られてはいないが、山内一豊の妻といえば賢妻の代名詞としてつとに有名である。これまで名馬購入や、着物のパッチワーク、升の底をまな板にした話など倹約ばかりに焦点が当てられてきたが、千代に代表される戦国の女性たちを夫をそっと陰で支えるけなげな妻としてだけ捉えるのは早計かも

▼山内一豊は関ヶ原の戦いではこれといった戦功はなかったが家康は他のどの武将より多い3・4倍増の土佐一国20万石を一豊に与えた。会津の上杉討伐に向かった下野小山の家康の本陣にいた一豊の元に千代から上方での石田三成挙兵を知らせる密書が届いた

▼「封を切らずに家康公にお渡しするように」千代の演出も心憎いが、妻に従った一豊もなかなかの人物だ。東海道を西上する家康に一豊は当時の居城掛川城を兵糧ごと差し出した。東軍の士気はおおいにあがり家康を喜ばせた。実はこれも千代のアドバイスである

▼女は政治や仕事など表のことに口出しせず、家事、育児など奥のことだけすべし−は江戸時代初期以降のこと。戦国の世では、千代以外にも秀吉の妻おね、前田利家の妻まつなど夫を諭し、異見する女性が多かった。また夫も妻によく相談を持ちかけた。一豊・千代夫妻には子どもがいなかったが、一豊は生涯側室を持たなかった。それも彼らに親近感を持つ所以か。夫婦のあるべき姿を考えながら今年の大河ドラマに注目するのも一興かもしれない。(水・KK)

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