コラム

2006/02/04

実績が最高の営業ツール(前・HI)


▼建築設計事務所の代表者が集まったある会合の席で、地方自治体が実施しているプロポやコンペについて議論になった。「プロポ、コンペを行う場合は、最初に審査委員を発表し次に審査基準の軸をしっかりと周知した上で行うべき」「どのようなコンセプトで作品を提案したらよいのかわからない」等々の批判だ

▼建築設計事務所を選定する際、作品や技術で評価しようと、大型物件に限らず、比較的小規模な案件にまでプロポやコンペを採用する例が増えた。しかし、プロポ、コンペと言っても運用の仕方は様々。審査委員や選定基準が明確に公表されず進められることも多く、その結果、入選の経緯も明確にならず、選定に漏れた方も釈然としない

▼審査委員が、役所内の職員で構成されることも多く、中には、見た目の印象のみで、技術的な内容が審査されることなく決定されてしまう例もあるという。報酬や謝礼金の低さも改善されず、「参加した事務所がいかに苦労しているのか、発注者はわかっていない」と嘆く

▼「特命随契が理想だけどね」と一人が言うが、「難しいね」と誰かが応える。確かに、公共調達に特命随契ばかりでは問題だが、民間では特命が一般的。姉歯元建築士による耐震強度偽装事件から、価格競争だけでなく、過去の実績を重視するクライアントも目立つようになった

▼「作品が次の仕事を生む」。ものづくりの業界にとって、作品や実績が最も重要な営業ツールになることは今も変わらない。今年は、公共工事品確法の施行により総合評価方式が本格運用される。入札参加企業の多くが納得できる発注形態に近づくよう期待したい。(前・HI)

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