コラム

2006/02/22

芥川賞掲載誌と春(長・YK)


▼各地から春の便りが届き始めている。梅が咲き、メジロが蜜を吸いに庭先に訪れさえずる。次いで杏が咲き、一足遅れて桜が咲けば新入学の季節になる。春の訪れは里から山へ駆け上がり、関東平野から1月ほど遅れて上信越にも確実に新緑の季節がやってくる

▼私事だが村上龍氏の『限りなく透明に近いブルー』以来2月と8月の年2回、芥川賞と直木賞が掲載されている文芸誌を読む読まないに関わらず雑誌だけは購入している。直木賞は大抵最後まで読めるが、芥川賞はここ数年、短編にも関わらず冒頭だけ読んでそのまま押入にというパターンが続いていた。今回の『沖で待つ』も同じように押入行きかなと思いつつ…

▼しかし今回は最後まで読み通すことが出来た。作品に関する感想や批評は専門家に任せるとして、読み通せたのは主人公が住宅設備関係に従事しているという設定だったからと思う。作者が勤めていたという企業に妻の友人も勤めており、登場人物の「太っちゃん」が彼と同じような事を言っていたのが妙に可笑しかった

▼読み終わって、彼に「あの太っちゃんてお前の事じゃないの?」と電話すると「俺は確かに太ってるけど、彼女とは話をしたことはない。しかしうちの会社から芥川賞作家が出るとはビックリ。サインでももらっておけば良かった」と笑っていた

▼例年芥川賞・直木賞の掲載誌が書店に並ぶと同時に、各市の予算案が出始め、春がやってくる。経済は回復基調ということだが、予算内容を見る限り首を傾げたくなる。もう少しの辛抱か。いよいよ春本番である。それとともに杉花粉も飛んでくるのが気に掛かるが。(長・YK)

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