2006/03/17
出会いと別れの季節(さ・YW)
▼3月、4月は別れと出会いが同時にやってくる。そればかりではなく、就職・受験・入学など不安と希望、悲しみと喜びも共存する人間模様が繰り広げられる季節だ
▼筆者は特に「別れの場面」が好きだ。それは人を優しくする。「気を付けてね」とか「また会いましょう」など自然に思いやりの言葉が出てくるからだ。ここには、どことなくしんみりとしながらも暖かみがかもし出す風景がある
▼しかし2007年には大きな別れがある。団塊の世代が定年を迎えるこの年は、これまで技術立国を支え、戦後日本の経済復興を具現してきた人たちが一線を退く。つまり、優秀な団塊の世代の別れの場面があと1年と迫っているのだ。各業界でもその経験の継承に非常に躍起になっている。ベテラン刑事がいなくなり、現場をあまり知らない若手は警察学校で研修を積み、毎日盛況とのこと。そればかりではない、専門工事業など技能を売り物にしている建設業界も無論その最たる例と言える
▼技術の伝承は経験工学であるため、かかわった人が次の世代に伝承できなくては何にもならない。しかし、機械化、マニュアル化に慣れ親しみ、パソコンで図面を引き、問題解決も現場ではなく機械=パソコンの画面で解決、修正しようとする世代には本当の意味での受け継ぐことができるのだろうか
▼団塊の世代が1年後の3月に別れが到来する。その人たちには「お疲れ様」と「元気でいてください」の言葉はもちろんだが、本当の意味での優しく暖かみのある別れになるには、技術と経験・知識をしっかり受け継ぎ武器とし新たな出会いに期待したいものである。 (さ・YW)