コラム

2006/05/01

いつの日か父親に(前・SN)


▼久しぶりに結婚披露宴に列席した。パソコンを駆使した新郎新婦の紹介や、友達の華やかな演出などに圧倒された。昔の職場の友人との会話も弾み、終始なごやかな時間に包まれた

▼トイレに立ち、席に戻ってみると筆者のテーブルには誰もおらず、周囲を見渡すと他のテーブルに移って歓談している。仕方なく新郎新婦の所にお酌をしに行き、ちらっと自席を見たが、まだ誰もいない。新郎との話を延ばそうと会話を続けたものの、新郎の会社関係の人が大勢で挨拶にみえたので、やむなく席に戻った

▼料理に箸を付けながら時間をつぶしていたら、突然寂しさが胸をよぎった。花嫁の姿が自分の娘に重なってみえたのだ。それも、まだ幼い小学6年生の今の顔。目をこすって改めて見た。「良かった」娘の顔ではない。冷静に考えればあり得ない事なのに、何故そんな現象が起こったのかわからないが、冷や汗が首筋を伝う

▼式のフィナーレは、定番の新郎新婦からそれぞれのご両親へ花束の贈呈。筆者は、もう完全に花嫁の父親の心情になっていた。いつの日か、同じ日を迎えるかと想うと目頭が熱くなってきた。帰宅して、そのことを妻に話してみると、軽く笑われた。どうも、娘に対するこの寂しさは、母親には持ち合わせてないらしく、父親だけの感情の様だ

▼特に小学校に就学してから子供の成長は早い。今、この時期にきちんとかかわらなければ、本当に花束を渡される立場になった時、冷や汗をかく自分がいる事になってしまいそう。今週末は、子供たちと近所の公園でキャッチボールでもしようと思う。ささやかな日々の行いが記憶に残るはず。(前・SN)

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