コラム

2006/05/02

マイスターを目指して(水・KI)


▼今年も自動車レースの最高峰・F1グランプリの激闘が展開中だ。中東は、バーレーングランプリに始まり、マレーシア、オーストラリア、サンマリノと続いた。各チームは、冬の間にニューエンジン、ニューマシンのテストを重ねてきた。コンマ何秒という世界の中で少しでも速く、少しでもよい成績を残そうと開発を続けてきたのだ

▼そんな中、日本代表とも言えるホンダ・レーシングは改正されたレギュレーションに苦戦しつつも上位に食い込んでいる。今年からエンジン排気量の縮小により、各車ともパワーダウンは否めない。毎分1万9000回転にも及ぶエンジンは単に出力を上げるだけではなく、レース全体を通した信頼性も重要となる

▼天才レーサー、アイルトン・セナは、些細なエンジン音の違いも見逃すことはなかった。彼は、公道レースとして有名なモナコでは強く、車体をミリ単位で操っていたというから驚きだ。そのため、彼にはモナコ・マイスターという称号までついたほど

▼マイスターという響きは、どことなく職人的な感じを受ける。ドイツのヴァイオリン製作マイスター試験などは非常に難しい。専門科目以外にも法律や経済、簿記など試験内容は多岐に渡る。その試験期間には半年から1年をかけるという

▼日本の自動車エンジンは、最高技術の粋を集めて造られている。そのため、日本車は世界一壊れないとも言われている。ビスやナットに至るまで職人の技術の結晶がこめられている。それを扱うエンジニアはいわば、マイスターと言えよう。どんな分野であっても物事を深く探求し、極めた人こそがその道のマイスターと言える。(水・KI)

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