コラム

2006/05/18

真摯に考えたい少年犯罪(長・YK)


▼今から6年前の蒸し暑い8月の夜のこと、11時過ぎに『ピンポーン』とドアフォンが鳴った。返答しても返事は無い。「こんな夜中にピンポンダッシュだよ」と吐き捨てた。寝床に入って10分後またピンポーン。さらに10分後にも。憤慨したのは筆者だけではない「ひっ捕まえてやる」と妻まで夜の通りに出た

▼深夜12時過ぎに男の子3人を挟み撃ちにし、顔をよく見ると1人は何処かで見たような顔。「岡ちゃんじゃないか」と言うと「済みませんでした」と殊勝な声。すぐ近くに住む長女と同級生のワルガキだ。もう2度とやらないと子供達に宣言させ、親に引き取らせた。翌日母親の1人が付き添い、悪戯した家を1軒1軒頭を下げて回っていた。妻と気の合っていた人で、町内会や子供会、PTAの役員など人の嫌がる仕事も進んで引き受けてくれる明るい人だ

▼長女が6年に進級する直前、その子の母親が突然拙宅を訪れ、父親の仕事で岐阜に引っ越すという。「最初は単身の予定だったが、悪くなるばかりの息子のためにも家族で行くことにした」と子供のこと、夫婦や親戚のことなど2人で泣きながら長話になっていた

▼先月、岐阜県中津川で女子中学生殺害事件が発生した。数日後長女からメールで「岐阜の殺人犯の高校生は九小の岡ちゃん…。」と。愕然とするとともに、1軒1軒頭を下げて回っていた母親の姿が脳裏をよぎった

▼少年犯罪が多発している。特徴的なのは軽薄な、短絡な思いこみによる例が多い。当然、いろいろな場で対策が講じられるが、抜本策には至らない。対岸の火事とせず、個々人が真摯に将来を憂える気持ちが望まれる。(長・YK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら