コラム

2006/05/23

今なお残る原発の惨劇(水・KI)


▼人類史上最悪の産業事故とされるチェルノブイリ原発事故から今年で20年を迎える。事故現場となった4号原子炉や周囲300m圏内には現在も近づくことができない。あらためて、原子力の恐ろしさを感じる。事故当時、避難した住民は13万人以上にのぼる

▼そして今尚、深刻な問題を引き起こしている。事故当時、子供だった被害者がその後、結婚して産まれたその子供に人体への影響が出ていることだ。学者によれば、2世代、3世代にまで後遺症は続くという。そして、事故原因が明確でない点も問題だ

▼事故発生時は、作業員のミスとして片付けられたがその後、原子力施設の構造上にも問題があったとされている。だが、正確な原因については今も未解明な部分が多い。それだけ原子力には未知の部分が多いのかもしれない

▼日本もまた、原子力大国であり電力の約3割を原発に依存していることは紛れもない事実。日本でも様々な分野で原子力の危険性について議論がなされている。また、地震が多いという土地柄、耐震性の欠陥を指摘する専門家もいる。確かにヨーロッパと比べて、日本は地震は多い。昨今、世間を賑わせている耐震偽装の問題を考えると、原子力施設は大丈夫か。そして、大量の水を必要とする原子力施設の建設地はおのずと軟弱な地盤である海岸地域に限られるという事実もある

▼人間は、誰でも間違いを起こす生き物だ。しかし、20年前の忌まわしい事件から多くを学び今後、二度とこのような大事故は起こしてもらいたくないものだ。現在の環境が将来への危惧となる。即刻対応しなければならないということだろう。(水・KI)

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