コラム

2006/05/26

白黒をはっきりつける?(水・KK)


▼6月1日の改正道路交通法の施行が目前にせまっている。駐車禁止区域で運転者が車を離れた時点で、警告なしで即駐車違反となる。従来の警察官に代わって民間委託された監視員による取締り。動向が注目される

▼迷惑駐車に辟易したことのない人は少ないだろう。違法駐車による見通しの悪さは思わぬ事故を引き起こす大きな要因となる。道路をふさいだ車両によって救急車や消防車などの緊急自動車が通れず救えるべき生命、財産が失われることは絶対あってはならない

▼3年後の平成21年5月までに裁判員制度がスタートする。国民から無作為に選出された人がプロの裁判官と一緒に殺人や傷害致死など重大事件の裁判を行う制度だ。やむを得ない理由以外、人の人生を左右する場面に関わりたくない、仕事を休みたくないなどの理由では拒否できない

▼駐車違反監視員は違反者とトラブルになったら、速やかにその場を離れろと指導されているという。民間人が危険にさらされるのを織り込み済みなのか。運送会社にとっては一切の「お目こぼし」が許されないとすれば死活問題となるだろう。また裁判員に選ばれた労働者が無理解な経営者に不当な待遇を受けかねないと誰が断言できるだろうか

▼松下幸之助翁は、指導者は自分に味方する者も敵対する者も、「清濁合わせ飲む」大きな度量を持つべきだと説いた。白黒をはっきりつけられればそれに越したことはない。しかし、人にはそれぞれ都合、立場というものがある。今般の改正道交法、裁判員制度。理想を追うあまり、しゃくし定規な考えに陥ることのないよう柔軟な運用を望みたいものだ。 (水・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら