コラム

2006/05/29

生き残ったピアノ(長・YK)


▼私事だが拙宅には古びた日本製のライトアップピアノがある。妻が保育士の資格を取るため、20年ほど前に岳父が購入したもの。これまで一度も調律しておらず音程も狂っまま。幾度も廃棄の話が持ち上がったが、捨てられずにいた

▼しかし1年ほど前、末娘がピアノを習いたいーと近所の知人宅へ通い始めたので、ピアノは廃棄を免れた。そして先日、練習の成果を披露する発表会が催された。当日の朝も、母親に脅されて渋々課題曲を練習。この時点でもタッチミスなど完璧には出来ていない。しかし切迫感は全く無くピアノの前で「はぁ〜、疲れた」などとと言いながら、おでこや鼻で鍵盤を叩いている

▼本番に強いのか、発表会は何とか切り抜けることが出来た。観客席に戻って来て舞台のグランドピアノを指差し「あのピアノは先生のと同じマーク。先生のピアノは茶色いし、鍵盤が軽いのに大きな音が出るからからオルガンだと思ってた」と一言

▼そして「どうして家のは鍵盤が重いの?」と真顔で聞いてきた。発表会で使われたピアノはドイツ・スタインウェイ社製。対して我が家のは国産某社。同じピアノに違いはない。しかし音、キータッチなど素人の筆者でも分かるほど歴然とした差がある

▼ピアノのように明らかな違いが直ぐに分かるなら良いが、橋や道路、建築物はそうはいかない。長野県には今、予定価格の6〜7割で造られた橋梁や道路が数多くある。20年30年後にもしっかりと残っていれば良いのだが。「安物買いの銭失い」だけは避けたいものだ。命に関わるようなものは少しくらい高くついても、良質のもので安心感を優先させたい。(長・YK)

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