コラム

2006/06/09

江戸時代にみる循環型社会(水・KK)


▼今日、6月9日は「リサイクル」の日。数字の6と9を組み合わせると巴の形ができる。これを消費者と生産者に見立てれば、リサイクルにぴったりの模様になる。1990年(平成2年)に東京都北区の金属回収業者が提唱した

▼江戸時代に関心を抱く人が多くなった。忙しい現代、「スローライフ」のキーワードからか新聞、雑誌などでも江戸の暮らしに関する特集がしばしば取り上げられている。江戸時代の日本は政治形態としては、遅れた封建社会だったかもしれないが、資源やエネルギー循環、エコロジーの見地から言えば、現代よりもかなりまともな面も多かった

▼江戸時代日本人は太陽エネルギーだけで生きていた。太陽エネルギーによって生育した植物を中心に衣食住の大半をまかなった。さらに排泄物も含めほぼ完全なリサイクル社会だった。わらや薪炭を燃やしても、人口が現在の4分の1で、エネルギー消費が1%以下の江戸時代には大気汚染の問題もほとんどゼロだった

▼戦後まもなくから、筆者が幼かった昭和30年代くらいまでは、日向水にちょっと熱湯を足したたらいで行水をする風景が見られた。空になった一升ビンをぶらさげて酒や醤油などを買いに行かされたのも覚えている。再診の際、薬袋さえ律儀に再度医者に持って行ったものだ

▼世界を見渡すと、江戸時代の日本よりはるかに貧しい生活をしている国もある。そんな国は放牧した家畜が木の芽まで食べてしまい砂漠化が進むなど、循環型でないから貧しいと言っていいだろう。江戸のエコシステムに学ぶべき点は多い。まずは「足るを知る」気持ちを持つことからだろうが。(水・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら