コラム

2006/06/23

ようこそ人口減少社会(水・KK)


▼日本の少子化が止まらない。厚生労働省が14日発表した試算によると、このまま少子化が進めば、1年間に生まれる子供の数は2050年に現在の出生数の半分以下の43万5000人になるという。国立社会保障・人口問題研究所は日本の人口は同2050年には約1億人、さらに2100年には6737万人と推計

▼ともすれば人口減少社会は衰退したうらぶれた社会という暗いイメージがつきまとう。人口減少は国民の高齢化であり、労働人口を激減させる。経済は停滞し、年金制度は破綻。日本社会は高齢者の扶養負担に音を上げるといわれる。日本の人口は減少していくが、無理やり増加させる必要があるだろうか

▼ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のロバート・ルーカス教授は、産業革命の本質を、生産物の増大よりも、人口がそれほど増加しなかったことが大きいと指摘する。技術革新によって生産物が増加しながら、それを食いつぶすほどの人口増加がなく、一人当たりの所得水準が飛躍的に上昇した現象だという

▼人口が減少しても、一人当たりの生産性を高めることができれば、人口減少社会を豊かなものにできる。1990年代にはドイツ、イギリス、イタリア、スウェーデンなど労働人口が減少した7か国すべてで生産性が向上している。労働力の産業間・企業間の円滑な移動が促進されるなどそれまでの制約が少なくなり労働力の有効利用が進んだためだという

▼人口減少社会は陰惨な社会ではあってはならない。一人ひとりが真に豊かさを実感できる社会でなければならない。健全な楽観主義をもって、そのための準備をしたい。(水・KK)

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