コラム

2006/06/28

言葉選びの難しさ(本・JI)


▼NHKのバラエティ番組「サラリーマンNEO」で毎回放送のコント「Re:」。取引先の女性からメールを受けた35歳の男性が、彼女と親密な関係を築こうと、好感をもたれるような返信メールを書く。これだけの内容だが、役者の迫真の演技と危機迫るナレーションが、事の切実さを盛り上げる

▼この男性はどう返信するか苦しむ。どのように書けば彼女と仲良くなれるのか。言葉を一つひとつ声に出して「少し堅いか」「これでは軽すぎる」などと悩む。一語書いては声に出し、言い換えては修正する。先日の放送では「さて」と「ところで」の選択に迷い、コイントスで言葉を決めようとする。放ったコインをキャッチして手を開くと表が出たのだが、どちらの言葉が表か裏かを決めずにいたことに苦悶していた

▼彼は、高まる恋愛感情を抑えつつ、明るさと誠実さと適度な軽さを文章にしようと言葉を選ぶ。オフィスで一人、モニターをにらみつつキーボードを打ち、たまにニヤリとほくそ笑む姿は不気味このうえない。しかし、メールを送る時は誰もがそんな顔をしているかもしれない

▼今や誰もがメールを活用する時代。しかし、こちらの誠意が文面に出ているか、言葉は適切か、無駄はないか、言い忘れはないかーなどの丁寧さや注意を要する時もある。相手が自分にとって重要な存在であれば、言葉選びも真剣になるというものだ

▼メールは手軽な通信手段だ。しかし気軽に使っていると、普段は気付かない落とし穴に陥ることがあるかもしれない。国会での「メール問題」も記憶に新しい。何事においても常に慎重さが必要ということだろう。(本・JI)

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