コラム

2006/07/05

「青い太陽」の可能性(本・HK)


▼東京都美術館で開催された「プラド美術館展」を見に行った。絵を鑑賞することは好きで、美術館には時々足を運ぶ。雨にもかかわらず来場者は多く、ゆっくりと見ることはできなかったが、良い経験をした。2002年に日本で初めて開催され、多くの美術ファンの熱望に応えるべく、今年、新たな「プラド美術館展」を開催し、期間を延長する盛況だった

▼小学生の頃はとにかく絵を描くことが好きで、毎日のように絵を描いていた。当時のことはあまり覚えていないが、ある写生会で太陽を青く描いたことがある。「どうしてこの色を使ったの?」と不思議そうに聞く先生に対して「青色が好きだからです」と答えると、しばらくしてから「惜しかったね、この色じゃなかったら賞取れてたかもしれないのに。次からは気を付けた方がいいよ」と注意された。その日以来、自ら進んで絵を描くことはなくなった

▼「プラドに来て、運命が変わった」これは画家ではなく、ある小説家の言葉である。多くの人が、プラド美術館の作品を見て影響を受けたという。人はもちろんのこと、出会いは時に運命を大きく左右するものだ

▼「オジチャン、絵を描くの下手だね」友人の子供と遊んでいる時に言われた。なぜか子供にだけはもてるため、よく友人から子守を頼まれる。自分との出会いが何か今後の役に立てばと思う

▼「あの時、自分の絵を評価してくれる人と出会っていたら、今頃どうなっていただろう」。想像はふくらむ。ほのかな意味の無いことを考えてしまう今日この頃である。無邪気に絵を描くその姿は、昔の自分を見ているようで懐かしく感じた。(本・HK)

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