コラム

2006/07/12

公共調達ということ(本・UT)


▼何かを買う時にヒトは、複数の要素を考慮する。コストを一番に考えるヒトがいれば、値段が高くても良いものを求めるヒトもいる。また同じヒトであっても、その時の懐具合や気分などによって、違う選択をすることもあるだろう。価値観によって、千差万別の選択肢がある

▼シンドラー社製エレベーター事故の1件は、まだ原因の特定はされていないが、公共調達の本質について考えさせられた。シンドラー社は世界2位のシェアを占めているといわれているが、日本国内でのシェアは1%程度で、公共事業がほとんどだという

▼なぜ大半が公共なのか。公共工事の調達が、価格のみの自動落札方式であることと、無関係ではないだろう。民間工事の場合は価格だけではなく、「信用」の要素も影響する。公共工事は、国民の安全に深くかかわっている。会計法は承知しているが、単純に安ければ受注というのは、何か違う気がする。品質が担保できない可能性がでてきてしまう

▼公共工事の発注者は、利用者の安全面という観点から、品質の視点も勘案して調達するという納税者への責任がある。例え財政難であったとしても、かわらない本質だろう。そういった意味で、価格と技術の総合評価を位置付けた公共工事品確法の施行というのは、やっと正常な調達環境が整ったと見るべきなのかもしれない

▼また今回のエレベーター事故では、落札率についても指摘されている。保守管理も含め「低い落札率は危険」といった見方が出てきた。落札率については普段、「高い落札率は悪」というイメージで使われることが多い。どちらも、ひとくくりで説明できる話ではない。(本・UT)

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