コラム

2006/07/13

大人と子供の食育とは(甲・TT)


▼「きちんと出汁の取れない人は男も女も結婚してはいけません」と言ったのは料理家の辰巳芳子氏。料理にとって出汁は基本、と解釈すれば料理の基本とは何なのか

▼我がお師匠様に尋ねると「思いやりと気配り」と答えが返ってきた。結婚を機にその意味を実感した。献立を考えるとき相手のご機嫌を伺う。疲れているなら体に優しいものを、お腹を空かせているならボリュームのあるおかずを用意する。相手のことを思いやる心。夏は喉越しよく、冬には暖まるものを、旬をとらえ、盛りつけには彩りにも気を遣う配慮。料理の技術はこの礎の上になければならない

▼子供の頃苦手だった食べ物が大人になると平気になったという経験はないだろうか。このからくりは口の中にある味を感じる味蕾(みらい)という機能にある

▼味覚は、四味にわけられ、「生理的欲求にもとづく味覚」の甘みと塩味に対し、腐っている物などで感じる苦みや酸味は、身体にとって危険な味とされる。成長するにつれ食物の知識が増え安全と判断すると苦味や酸味を楽しめるようになる。また味蕾は赤ちゃんが1万2000個位、最もこの細胞発達する8歳から12歳間に約4万個にまで増え、成人すると8000個から1万個にまで減る。味覚が鈍感になるのも苦みや酸味を好む大きな理由だ

▼今、教育現場では「食育」の重要さが唱われているがその意味は幅広い。しかし一番大切なのは「豊かな味覚を育てること」おいしいと感じるからこそ食べ物にも料理にもその先にある様々な世界にも興味を持つ。安全でおいしい物を提供する社会を作るのが大人の「食育」なのかもしれない。(甲・TT)

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