コラム

2006/07/14

人生に必要な知恵は(水・KK)


▼アメリカ人ロバート・フルガム氏のエッセイ『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』を読んだ方も多いだろう。人間どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればよいか・・・人生の知恵は大学院という山のてっぺんにあるのではなく、日曜学校の砂場に埋まっていたのであるーの一節が印象的である

▼マーケティング関係やメンタル・サイエンス、ポジティブ・シンキング等の成功哲学の本など、書店の店頭には時代を反映した書籍が並んでいる。タイトルに惹かれ思わず手に取ってはみるが、自分には難し過ぎたり、総花的内容であったりして買わずに通り過ぎることが多い

▼イソップ物語には「アリとキリギリス」「ウサギとカメ」「北風と太陽」「オオカミ少年」など、誰もが知っている話をはじめ、400篇以上の話がある。子供の頃、自分で読んだり、親や先生に話してもらったものだが、大人になって読み返してみると新たな教訓に触れることが少なくない

▼イソップ物語の「子牛と老牛」は「アリとキリギリス」に似ており、汗水たらして働く者は生活を守ることができるが、安穏としている者はしっぺ返しを食らうことになるーとの解釈が一般的だろうが、別の見方もできるのでは

▼子牛は現在の境遇に満足せず、自分の行く末を案じるべきだった。そうすれば、生け贄にされる危険が察知でき、逃亡など対抗策を講じることもできたろう。今日、激動の時代を生き抜くためには、情勢の変化に敏感になり、適応能力を身につけることが不可欠だ。童話は人生に必要な知恵に満ちた、最高の人生論かもしれない。(水・KK)

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