コラム

2006/08/09

考えれば田舎も観光拠点に(新・YA)


▼?ツーリズム・マーケティング研究所の主席研究員である磯貝政弘氏の講演を拝聴した。磯貝氏は京都大学文学部卒業後、2001年より現職につく。日本人海外旅行マーケットの動向分析の他、外国政府観光局のアドバイザーなど観光分野全般における調査・コンサルティングを担当する、いわば観光のプロである

▼当日の講演は「国内観光ニーズの潮流と観光流動」と題し、国内旅行市場の現況を解説するものであった。その中で磯貝氏はインターネットによる情報流通の重要性を指摘し、ユニークな一例として「田舎ドットTV」を紹介した(http://www.inaka.tv/)

▼この「田舎ドットTV」とは、兵庫県の春日町を案内するインターネット放送局の名称。サイト自体は田舎の日常生活のリポートや、大根、キャベツの成長記録等が連日アップされる極々シンプルなものである。これらの農産物はオンラインで購入することが可能で、メールアドレスを登録すると「田舎のおばあちゃん」から定期的にメールも届く

▼「田舎ドットTV」では、毎年秋に「里山ウォークデー」というイベントを開催している。内容は各自が自由に里山を散策したり、ザリガニを探したり、農家の縁側で昼寝をしたり特別な催しやメニューは何も用意されてはいないが、口コミで人気が広がっているそうだ

▼バブル崩壊後、各地の民間リゾート施設は一部を除き今もなお不振に喘いでいる。地方自治体においても、観光振興は悩みの種の一つであろう。お金を掛けず、いかに人を集めるか、その鍵は、特別な観光資源を何一つ持たないこの「田舎」にこそ隠されているのかもしれない。(新・YA)

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