コラム

2006/08/18

切り口と思い込み(さ・YW)


▼私どもマスコミ界に関わり仮にも記者活動を続ける者にとって常に、同じ題材を扱うにしても、自分なりの切り口と展開を工夫する。その展開で良い記者もしくは鋭い指摘、切れ者、敏腕記者などと区別される

▼切り口によって、時には事実と違うこと、言わば読者にミスリードすることもある。先日、埼玉県庁の某部に対しての外部包括監査の結果を読んだ。部の担当者は、「いくら説明しても耳を貸さない」「はなから決め付けたヒアリングだった」と嘆く

▼具体的には、入札契約、総価契約のことを分からず、数字の大小だけでモノを言い、監査結果として提出していたそうだ。担当者は、公共工事の契約に係る「負」の部分だけを大きく取り上げようとするヒアリングで「思い込みの監査結果過ぎる」と続ける。つまり公共工事の入札は、官製談合、不透明性だのといった視点で監査し、初めから監査でのレポートはシナリオありきということのようだ

▼何も世の中監査だけではない。マスコミこそ、その最大とする例もある。とりわけ、社会部、政治部などは汚職でも法的違反でもない場合でも、切り口で「倫理上どうのこうの」、見出しは「疑惑浮上」などの言葉が並ぶ。先日、中学受験合格率全国2位の有名な都内の区立小学校で、先生の会計上のミスを「PTAが汚職した」類の報道をし、不買運動までされた日本を代表する新聞社があった

▼自らの切り口に酔い、ミスリードすることは絶対に行ってはいけない。しかし、昨今、公共事業では悪の部分だけを強調しすぎるシナリオが横行している気がする。読者、視聴者も切り口=思い込みにはまってはいけない(さ・YW)

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