コラム

2006/09/07

ヨンの字は永久に(本・JI)


▼あるテレビ番組によると、韓国の俳優「ヨン様」に群がっていた中高年女性が、今は高校野球で優勝した早稲田実業の斎藤佑樹投手に流れているらしい。マウンド上で、青いハンドタオルを使って汗を拭く姿が美化されて「ハンカチ王子」との愛称で大騒ぎである

▼中高年女性の元気な姿は街のいたるところで垣間見ることができる。ある朝に喫茶店で涼んでいると、小柄な老婦人が入ってきた。彼女は独り言をつぶやきながらさんざん迷ったあげくコーヒーとトーストを注文。カウンター越しに女性店員がさわやかに「番号札4番でお待ちください」と声をかけた。ここまでは、どこにでもある光景だった

▼しかしここで、老婦人が切り返した。「どうしてこの数字なんだ。本当にこの数字なのか。数字の意味も知らんのか」店内に響く声で怒鳴り散らす。客の全員が声の方向に注目した。店員は大慌てで4番札を引っ込めて「申し訳ございません。5番にさせていただきます」と平謝り。老婦人は4という数字をヨンではなくシ、つまりは「死」と読んだわけである

▼確かに、神でも占い師でもない者から「アナタは『死』です」と札を出されれば、怒り出すのも当然である。もちろん女性店員にそんな意図はないから、この老婦人に同情するつもりはないが

▼今回の出来事は女性店員にとって衝撃的であっただろう。きっとこの店は4番札を永久欠番に当て、2度と客に出さないかもしれない。店員も老婦人も不快だったに違いない。しかし、ヨンをもじればヨイ(良い)である。女性店員にも老婦人にも、4を通して良いことが舞い降りますように。(本・JI)

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