コラム

2006/09/11

既存資産のまちづくり(さ・YW)


▼町づくりと一言で言うが方向性、手法を間違えると破綻してしまう時代に突入した

▼北海道夕張市が財政再建団体への発表を行い、総務省への手続きを進めている。この一件以来、全国の多くの自治体でその可能性があることが報じられている。原因は、公共事業の大盤振る舞いとか、借金財政のツケだといった短絡的に報じられがちだ。しかしその中に潜む真実、なぜ積極財政に突き進まなくてはならなかったということが見逃されがちだ

▼炭鉱から観光へ、夕張市は炭鉱の資源を生かし、既存施設を博物館風に改造した建築物とし観光に生かそうとした。分不相応なハコ物ラッシュと批判されているが、必ずしもそうではない。ハコ物が悪いのではなく、中のソフト面の展示、リニューアルへの工夫といった人の呼び方がおそまつだったに過ぎない。旭山動物園は、体験型の水族館などリニューアルし来園者を飽きさせることなく、リピーターに取り込んでいる

▼夕張市も既存施設、それもどちらかと言うと炭鉱といった「負の遺産」的なものをむしろ逆手に取り、観光資源に生かそうとしたことは先進的とさえ言える。なぜなら、横浜市のレンガ倉庫群、小樽市の運河などは誰も近づかない地域でありながら、リニューアルし近づかないのではなく、近づけようとレトロティックな商業施設、おしゃれな散歩道整備など観光資源に切り替えている

▼夕張市も方向性は正しかったに違いない。しかしソフト面の工夫が足りなかった。今後町づくりについて、新たな見栄えの良いものを造らなくとも、既存観光資源をどう生かすのかをまず熟慮する必要があるのでは。(さ・YW)

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