コラム

2006/09/21

水槽に見る小世界(前・HM)


▼魚を飼い始めた。小さい水槽に簡易ポンプ、魚も小型の川魚。メダカ15匹に小さなドジョウが5匹、ヌマエビ3匹、ヨシノボリ1匹、水草適量にタニシ少々。なんだか、かき揚げのレシピのようになってしまったが、れっきとした我が家のペット達だ

▼日本の川魚は汚れに弱いそうだ。おしなべて日本の川は流れが速く、水がきれいだからだという。そのため川魚を飼うときは、当然のことだが水槽の水質管理が大変重要になってくる。実は、これが結構難しいし難儀である

▼今回魚を飼ってみようと思ったのは、環境保全型護岸の新しい工法を開発した企業の大きな水槽で泳ぐ沢山のグッピーを見てから。社長に「飼っている魚も、新工法開発のヒントになってますか」と冗談半分に聞いたのをきっかけに、魚の飼い方についてレクチャーを受けた

▼曰く、ドジョウのような底棲魚やエビを入れると餌の残りなどを食べてくれる。貝を入れるとコケを取ってくれる。ちゃんとバクテリアのいる底砂を準備するとフンも分解してくれる。飼っている人には常識かもしれないが、なるほどと妙に納得した。エビや貝が中間処理場で、底砂が最終処分場といったところか

▼よく見れば水槽は1つの小世界。その中でほぼ全てが完結している。水草を置いたり隠れる場所を作るのは社会基盤整備。ろ過器やポンプは浄水場のようなものか。そして底砂は処分場だ。そうすると、この小さい水槽を見ているだけでも、何か人間社会にとっても役立つヒントが見つかるかもしれない。水槽の前に座り、ちょこちょこと泳ぐ魚を飽きもせずに眺めていたら、そんな気持ちになってきた。(前・HM)

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