コラム

2006/10/02

飲酒運転と建設業(前・HI)


▼福岡市の職員が起こした飲酒運転による交通事故で、幼児3人が犠牲になった事故を契機に、交通事故、特に飲酒運転に対する厳しい目が、国民的に広がりを見せている。罰則の強化とともに、関連業界の防止対策への取り組みが始まっている

▼大手自動車メーカーが、飲酒運転ができない自動車開発に着手した。仕組みは、運転者の息から、一定濃度のアルコール分を検知すると、エンジンがかからないというもの。「飲んだら動かせない」抜本的なシステムも含まれており、今後の開発に注目が集まる

▼交通事故は、道路上で発生するもの。道路整備を担う建設業界の事故防止対策は、交通安全施設業を中心に予防・抑止的な対策をとってきた。しかし現状では道路を計画する際、幅員や線形は運転しやすいようにと、ドライバー中心の視点で整備され、歩行者の安全に十分配慮しているとは言い難い

▼自動車は現代社会において生活や仕事に欠かせないものとなった。一方、自動車が引き起こす交通事故は、直接的・間接的に多くの人を悲劇に陥れてきたのも事実。これを「現代社会の必要悪」という見地もあるが、飲酒運転は別問題。現在の事故防止対策は、ドライバーの自由度を奪ってでも防ごうという、これまでの対策から大幅に踏み込んだものだ

▼自動車業界と建設業界が連携して、防止対策に取り組んだらどうだろうか。例えば、目の前の信号が赤のとき、自動車のアクセルがロックされ、発信できないようなシステムは可能だろうか。このように、従前の枠を越えた連携ができれば、抜本的な事故防止、加えて新たな市場を産む可能性もある。(前・HI)

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