コラム

2006/10/13

レトロ商品ブーム(水・KK)


▼今に始まったことではないが、最先端の技術と洗練されたデザインの新製品が次々に店頭に並ぶ一方で懐かしさを前面に出した商品も拡大を続けている。先日も飲料水の自動販売機でそんな昭和復刻版ともいえる商品が目に入り思わず購入してしまった

▼1950年代後半、白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の3種類の家電は「三種の神器」と呼ばれた。高価な憧れであり、新しい生活の象徴であった。その後、高度経済成長時代が続き、カラーテレビ、クーラー、カー(自動車)の3Cの新三種の神器、さらに数年前から急速にデジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビのデジタル三種の神器が普及してきた

▼市場が成熟しきってしまうと、人々は新たな消費欲求を抱きにくくなる。一定の豊かさを手に入れた人たちが心の奥底で何を求めているのかを見据えずに新商品を開発したり、大がかりなプロモーションをすることはもはや有効ではなくなってきているのでは

▼人間の快感、心地良さはドーパミンに代表される神経伝達物質によってもたらされるといわれる。しかしドーパミンは全く未知のものには反応しない。過去の経験から類推、予測される新しさに期待して反応するといわれる。以前自分が気に入ったり感動したブランドが一歩進んだ魅力的な商品を提供してくれれれば購買意欲は高まるだろう

▼『タイムスリップグリコ』の大ヒットに代表され、依然続くレトロ商品ブーム。懐かしさも勿論だが、人々が求めているのは商品それ自体ではなく、幼少期や思春期、そして幸せだった時代の甘美な体験を再び味わいたいという気持ちからなのだろう。 (水・KK)

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