コラム

2006/10/17

メッセージを伝えたいとき(水・KM)


▼「人生とは旅であり、旅とは人生である」この言葉を残し、中田英寿氏はピッチを去った。現在は言葉の通り、世界を旅行中のようだ。中田氏のマネジメント事務所によると、今年1年は世界を旅し、2年目はどこかに長期滞在したいと話しているそうだ。結局、引退試合はなし

▼夢と力を与え続けてくれた彼のプレーをもう一度見たいと願うが、叶わぬ願いのようだ。W杯後中田氏は、サッカーを通じて我々に何を見せることが出来たのか、何を感じさせることが出来たのか考えたと述べている。考えるまでもなく、我々は彼の走り回る姿、チームメイトを鼓舞する姿から沢山メッセージを受け取っていた

▼そんな中田を生んだ名門韮崎高校には24年前、天才と呼ばれ将来を嘱望されていた「羽中田昌」という選手がいた。全国大会に2年連続準優勝。FWとして天才の名を欲しいままにしていたが、卒業後のバイク事故で下半身不随となり、選手生命を絶たれた

▼事故後、羽中田氏は、指導者を目指しスペインへ単身留学。そして今年国内指導者資格の最高ランク、公認S級コーチに合格した。彼は自分が健常者を指導し、成功に導くことが「障害者が仕事を与えられる環境からの脱却」を図るための一助になると考えている。また「自分が監督になること。そしてその姿を見てもらうことが何よりも障害者の力になる」と話している

▼奇しくも、韮崎高校の生んだ天才2人はメッセージの伝達方法として「自分の姿」を選んだ。筆者は記者として「言葉」を使用し伝達している。言葉の中に彼らのような重厚さを出していければ本望なのだが。切磋琢磨したい。(水・KM)

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