コラム

2006/10/19

下水道に変わる名称を(前・SN)


▼先日、片道2時間ほどの場所で取材があり、その道中いつものFM放送ではなく、久し振りにAMを聴いた。AM放送は、FMと比べると音楽を流す時間が少なく、逆にパーソナリティのトークが長いので、熱中し過ぎて事故にでもなればと、普段はAMを敬遠している

▼その日は、老年のしゃべり手が上水道と下水道について取り上げていた。彼の主張はこうだ。下水道の整備が遅れているのは、その語句のせいだと指摘。つまり、上水道、下水道という言葉が良くないというのだ。上と下に使い分けてしまうと、下の方はイメージが悪い。まして、その読み方もジョウスイドウ、ゲスイドウで、言葉の響きも悪く、これでは市民からの下水道への関心は高まらないと主張した

▼日本人は、物事を上、下に2極化する傾向が往々にして強い。これは、下の者が上の者を敬う儒教(論語)の教えに影響されているのだろうか。例えば、上品、下品、上流、下流など。この場合、いずれも下のほうはイメージが良くない

▼しかし、「下」の読み方が「ゲ」「カ」ではなく、「シタ」や「シモ」と読む場合はそうでもない。山の手(やまのて)に対して、下町(したまち)は、何か昔ながらの人情味を感じる。ほのぼのとした感じを抱く。この部分が意外と日本古来の伝統なのかも知れない

▼下水道の整備率は都市化のバロメーターとも言われており、地方での進ちょくは大都市圏に比べて平均的に低い。様々な背景はあるだろうが、「言葉」は無視できない。その放送では下水道に変わる語句まで踏み込まなかったが、名称変更を真剣に考えてもいいのではないかと感じた。(前・SN)

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