コラム

2007/02/13

不可逆を受け入れて(群馬・HI)


▼目の不調から眼科を訪れた。自覚症状を説明すると、医師は「ああ」とわかったような声を出して、ひと通り診察を行った後、確信したように「飛蚊症ですね」と言った。「ヒブンショウ?」と聞き返すと「放置しておいて問題ありません。私もそうですよ」と軽く笑みを浮かべた。そのとき筆者は、がっかりして家路についた

▼飛蚊症は、眼球内の硝子体にできる『濁り』が、目の前で糸くずや虫のように見える症状。蚊が飛ぶように見えることから、その名が付けられた。原因は生理的なものと病的なものがあり、病的なものは網膜剥離の前兆も考えられ早期に治療が必要だが、加齢や習慣による生理的なものは基本的に治らない

▼視線を変えると一緒に浮遊物も移動し、まばたきをしても目を擦っても消えない。この症状も、最初の頃は不快だったが、痛みやカユミはなく、月日を重ねるごとに慣れていった。眼科医が自らの飛蚊症を治せないのならどうしようもないと、受け入れるしかない

▼「不可逆」という言葉がある。二度と元の状態に戻すことができないことを言う。よく考えれば、過去に戻ることは不可能だし、永劫不変もありえず、そもそも形あるもので変化しないものなどない。不可逆という後戻りできないという考え方で前向きな視点に変えることができる

▼建設業界の新年会で、多くの協会長や理事長のあいさつを聞いた。厳しい現状を訴える中、チャンスなど力強い言葉が聞かれるようになったのも今年感じた特徴の一つ。厳しい経営環境を生き抜いてきた各団体トップの前向きな言葉と視点に、現状を受け入れて前進する力強さを感じた。(群馬・HI)

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