コラム

2007/02/20

本当の「もったいない」(茨城・KM)


▼雪が降らない。東京では、初の当期降雪ゼロが記録されるかもしれないと噂されている。エルニーニョ現象にともなう記録的な暖冬がこの状況を引き起こしているのだが、消費の分野にも異変を起こしている

▼コートやカイロなどの寒さを頼りにする商品は軒並み苦戦。スーパーでは、キュウリやトマトなどのサラダ用野菜やドレッシングが例年を上回る勢いで売れている一方で、鍋物用野菜が苦戦を強いられている

▼売れ行きの悪い白菜などは、値崩れを調整するために産地廃棄を行う。これは、キャベツや白菜など特定品目の野菜が、平年の価格の7割以下になった場合に市場に商品を卸さず、廃棄するもの。農家では、処分する代わりに、国から助成金を受け取る。昨年11月〜12月には、茨城県の白菜や熊本県の大根など計2万2000トンの野菜を処分、農家に計5億500万円が支給される予定。畑に植わったままの野菜をトラクターでつぶしたり、堆肥にしたりする処分方法に対し、消費者から「もったいない」との批判が絶えない

▼これらの声に応える形で農林水産省は改善策を協議する検討会を立ち上げ、国民から野菜を捨てないで済むアイデアを募集。3月末までに改善案をまとめる方向だ。ただし、とれすぎた野菜を市場に出さない農家を助成する今の制度は大きく変えないとしている

▼アイデアを募集するのであれば、野菜を捨てないとともに助成しなくて済む方法も募集するべきではないだろうか。それが本当の「もったいない」とする世相に納得がいく施策だと思うが。お金で解決する手法が、今日の財政逼迫を招いた根本的要因なのは承知のはず。(茨城・KM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら