コラム

2007/03/07

安全は幻、危険は現実(群馬・HM)


▼3月は建設業労働災害防止協会が主唱する「年度末労働災害防止強調月間」。多くの工事で工期を迎える年度末へ向け忙しさがピークを迎えるこの時期、労働災害も増加する傾向にある。昨年の当協会データによると11月に次いでいる

▼「安全第一」。この時期に限らず建設現場では必ず見かける言葉。いや現場に限らず、昨今は自然災害も増えたせいか、そこかしこで安全の2文字を見る。それでは一体「安全」とはなんだろうか

▼手元の辞書を引いてみる。「危険がなく安心なこと」と出ている。しかし、危険がない状態というものが世の中にあるのか。路上などは危険だらけだし、いつ地震が起きるかもしれないし、火事が発生するかもしれない。バランスを崩して椅子から転げ落ちるという不幸な人もまれにいる。仮に、分厚いコンクリートで作られた地下室に隠れるように住んでいたとしても、換気システムが故障すれば危ない

▼そうやって突き詰めて考えていけば危険をゼロにすることは不可能だ。つまり『安全』というものは、『絶対』とか『完全』というものがないように、地球上のどこを探しても見つけることができない幻のようなものかもしれない

▼といっても、「安全なんかないんだ」と悲観的に主張しているわけではない。安全は幻、危険は現実としっかり認識することが大切であり、それを忘れない事が労働災害防止につながるのだと思う。「フッと気がゆるんだ」時に事故は起きるという。この瞬間が危険の存在を忘れた時だろう。この強調月間を機に「安全」ではなく身近な「危険」を見つめ直してみるのもいいのではないだろうか。(群馬・HM)

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