コラム

2007/03/08

もういっぺん山の頂上へ(東京・JI)


▼友人が「退職したい」と自分の気持ちを会社に告げたらしい。これから会社と話を詰めていくとのこと。次の仕事は未定だ。この選択が吉と出るか凶と出るかは今後の彼次第だろう。彼が語る「今の会社での10年後の自分をイメージできない」という言葉が、印象的だった

▼転職雑誌Bーingの編集部による『プロ論』(徳間書店刊)という本が売れている。企業の社長や学者、作家、芸能人など各界の著名人が、自らの仕事への情熱を語るインタビュー集である。人気シリーズとなり、昨年末には第3弾が刊行された。建設関連の人物は、これまでのところ残念ながら皆無だが、登場を期待したい

▼この第3弾に、漫才コンビB&Bの島田洋七氏が名を連ねている。島田氏といえば、最近は著書『佐賀のがばいばあちゃん』(徳間書店刊)がベストセラーとなって話題の人物。この『プロ論』でも、ばあちゃんの言葉をたくさん紹介している

▼人気絶頂となった漫才ブームのあと、体調を崩し仕事も減った島田氏に、ばあちゃんは「山を登ったら谷も下りていけ。いっぱい気づくことがある」と言ったという。そして「谷に流れる川で体を洗ってさっぱりしたら、もういっぺん山の頂上へ向かえ」と励ましたらしい。かつて好況を経験し、そして今の厳しい時代を過ごす建設業界に対する激励にも受け取れる言葉だ

▼ばあちゃんの言葉どおり谷で過ごした島田氏。見事に6年後、仕事に復帰する。営業依頼は多く来たが「芸を安く売ることだけはしなかった」と語る。「勇気を出して仕事を選んだ」この誇り高き精神を、我々は真似することができるだろうか。(東京・JI)

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