コラム

2007/03/14

大切にしたアナログ社会(群馬・NT)


▼アナログからデジタルの時代へ―。お世話になっている老舗カメラ店の社長から一通のハガキが届いた。いつもの新商品を紹介する派手さも無く「謹啓」で始まる閉店を知らせる固い文面。デジタルカメラの普及に伴う銀塩カメラの衰退等を受け、事業の継続が困難と判断したのだ。昭和12年に開業して以来、親子2代で築いてきた70年の歴史に幕が下りる

▼建設業においても紙入札から電子入札の時代へと移行、デジタル化への波はいや応なしだ。すでに高いクラスの業者であれば、国などの発注で電子入札システムにほぼ対応はしているが、地方の中小にとっては、これから準備を進めるところも多い。電子納品は図面や写真のデータ管理にはじまり、ファイルの整理など、幅広い知識も求められる

▼公共事業費がピーク時の半分以下となる中、パソコンなどを備えていない企業にとっては機器類にかかる経費が重くのしかかってくるのも事実だ。移動コストなどを考えればメリットも多い反面、こういった現実があるのも忘れてはいけない

▼昨今、業界も必至に追随すべく研修等努力を重ねている。それ以上に要求される変革は早い。ハード面のデメリットもさることながら、発注者とのコミュニケーションが疎遠になるため、デメリット改善の率直な声が届かない

▼デジタル化はテレビや携帯電話、インターネットなど身近な環境でもデメリットが多い。例えば、人と人とが顔を合わせることで生まれてくる会話の『アナログ』的な暖かさが失われている。何とも言えない寂しさが胸に拡がる。デジタル化がすべて人間疎外とは言わないが、盲信は避けた。(群馬・NT)

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