コラム

2007/03/23

常識は雰囲気で作られる(茨城・KK)


▼最近、同級生に会うとよく「少年犯罪の凶悪化、多発化」が話題になる。「オレ達が子供の頃とは明らかに違うよな・・・」

▼これまで好きな古典、名作のほかに、人文・社会科学系の著作やビジネス書なども結構読んできた。「自分の役に立つから」「知的好奇心から」と言うともっともらしいが、自分の知らないことを知りたいというより、「自分が読んで心地よいもの」、「口あたりのよいもの」に偏っていた気がする。いかに評価の高い作品、ベストセラーでも自分の考え、主張を否定する著作は拒否反応から手に取る気が起きない

▼総務省統計局のデータによると少年(10歳〜19歳)人口10万人あたりの平成16年の犯罪比率は、殺人は昭和26年の2・55人をピークに0・48人に、強盗は昭和23年の22・53人から10・15人に、放火は昭和46年の3・55人から2・20人に、強姦に至っては昭和33年の24・28人から1・26人とまさに激減している。データから見れば「近年、少年犯罪は増加の一途をたどっており、道徳教育の見直しが急務」といった世論は妥当性に欠ける

▼少年による猟奇的殺人事件が大きく取り上げられ、あたかも同様の事件が頻発しているかのようなイメージ、雰囲気が生まれる。しかし、少年犯罪が珍しいものだからこそ大きなニュースにもなり、視聴者も興味を持って見たいと思う

▼明らかな事実誤認があるにもかかわらず、何となく雰囲気で支持され、常識にまでなってしまったことは意外と多い。とりわけ建設業界、公共事業を取り巻く世論についてはじくじたる思いだ。雰囲気に流されず、正しい見方をしてほしいものだ。(茨城・KK)

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