コラム

2007/04/27

アンチエイジングと養生訓(茨城・KK)


▼「アンチエイジング」。日本語に訳せば「抗加齢」。高齢化社会にあって「いつまでも若々しくありたい」という万人の願いが流行につながったのだろう。顔のシワを伸ばし、体のたるみ取りなどの美容医療がブームになっている

▼NHK総合テレビで毎週土曜日放送の『百歳バンザイ!』を観ている。100歳を過ぎても元気なお年寄りを見て感じることは、ある人は仕事に生き、あるいは趣味を持ち、家庭での自分の役割を果たし、それでいて、皆さん温和で控えめな人柄だということだ

▼『養生訓』の著者・貝原益軒。彼の生きた時代背景が現代人と重なるからだろうか、益軒を評価する声が最近、海外でも高まっている。益軒は江戸時代初期の1630年、豊臣家が滅亡した大坂夏の陣の15年後に生まれた。戦乱の時代が終わり、社会が落ち着くと、全国の耕作面積が2倍になるなど、日本経済は急成長。しかし元禄の頃をピークに、以降は幕末まで低成長が続く。益軒は享保の改革の2年前の1714年に84歳と当時にしては高齢で亡くなっている

▼養生訓・巻第二・総論下に「多少ともよければ満足するべし」とある。また「体の強い人は自分の強さを過信しがちなので、弱い人よりかえって短命」(巻第一・総論上)とも。益軒自身、生来虚弱で病気がちな人だったらしい。養生訓は勤勉にして謙虚に生きる人生の指南書、哲学書とも取れる

▼過熱する美容医療やサプリメントの流行に警鐘を鳴らす向きも少なくない。人それぞれだが、老いを受け容れ、食事や運動など生活習慣の改善を基本とし、年齢相応の健康状態を維持することこそが肝要と思うが。(茨城・KK)

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