コラム

2007/04/12

今一度、家庭の防災を(群馬・HM)


▼その年の世相を表す漢字として毎年、京都・清水寺で発表される今年の漢字。『災』の一字が選ばれたのは2004年の事。新潟県中越地震のほか、集中豪雨災害が多発した。しかし、災害はその年だけにとどまらなかった。各地で発生する地震とスコール的な集中豪雨。そして先日の能登半島地震。災いがとまらない

▼そうした環境のなか「家庭での防災は?」と聞かれて、非常食や水の備蓄を想像する人は意外と多い。果たしてそれが正しい家庭の防災だろうか

▼あるセミナーで聞いたが、1995年に発生した兵庫県南部地震。6434人の死亡者のうち約8割が家屋や家具の倒壊、転倒が要因だ。一方で水がなくて死んだという人はゼロ。家庭で何よりも優先すべき防災は家具の転倒防止と建物本体の補強という事だ。昨年1月に施行された改正耐震改修促進法では、建築物の安全性の確保と向上を図ることは所有者の努力義務とし、また都道府県には耐震改修促進計画の策定が義務付けられた

▼しかし、実態はもう一歩伴っていないのが現実。特に『安全神話』が生き続ける群馬県においては、金銭的負担がほとんどゼロの耐震診断ですら進んでいない

▼今回の石川県での地震。ニュースを見ていると地元では「こんな事は今までになかった」と話している。災害とはそういうものだろう。「過去に発生していない」という事実は安全性の裏付けではなく、逆に「いつ起きても不思議ではない」ととらえるべき。耐震診断を受ける。家具を金物で止める。多少の時間と費用でできる。命の事を思えば何でもない。今一度、真剣に身近な防災を考えてみたい。(群馬・HM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら