コラム

2007/04/18

セピア色にあらず(埼玉・YW)


▼2007年問題と呼ばれ久しかったが、日本の高度経済成長を下支えした団塊の世代。新年度からトップを切って新たな道で頑張っているに違いない

▼3月30日、多くの役所も民間企業で退職式が行われた。筆者が取材した退職式で、退職者のこれまでの功績が読み上げられた。あのダムはこの人が設計したのか、あの道路はこの人だったのかといった輝かしい功績が多く披露された

▼改めてあらゆる業種が2007年問題に直面し、知識と経験のあるベテランがいなくなり、大問題になるとはこのことかと感じた。一例だが、警察で言うと、ベテラン刑事が退職するため、警察学校の研修カリキュラムと会場は満杯だったということも伝え聞いている

▼むろん、建設業をはじめとする技能系の職種もその代表と言えよう。匠・巧みの業(わざ)などは、システム化、機械化などの進展により、技能者そのものが減り、後継者不足が取り沙汰されている。機械化、コンピューター化では表されない、人の心・思いといった息吹は言葉や文字で表しにくく、表したとしても、机上の域を出ない。やはり、見て学び、盗み、体得することが技能向上の最短の近道であることは否定できない

▼たまたま役所の技術者に触れたが、役所に限らず、あらゆる職種、全業界において、団塊の先陣を切って退職した方々の昭和40年代から50年代、バブル全盛期、さらには、あまり実感は湧かないながらも政府が唱える空前の高度経済成長の現代と、駆け足で通過したことだろう。その過程での功績は、色あせることはなく、セピア色に変色することはない。今後も彼らの活躍に期待したい。(埼玉・YW)

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