コラム

2007/04/19

親友の再チャレンジ(東京・HS)


▼大学時代からの親友が再就職した。今年1月に、長年勤務していた会社が倒産したのだ。最初に倒産の話を聞いたときはショックを受けた。年齢も50歳に近い人間の再就職はいったいどうなるのか、親友の身を案じた

▼しかし意外にも再就職はすんなりと決まった。実は、会社の倒産情報が流れた直後から、すでに5〜6社からオファーが来ていたのだ。親友が勤務していた会社は印刷業界で、営業職だった。営業は「会社の顔」であるとともに、個人の能力が会社の売上げに直結するシビアな部門だ

▼親友に寄せられたオファーが、まさに個人の能力の評価を表していると言える。自分が勤務している会社の倒産は、社歴が長ければ長いほど、倒産への責任を感じるのは当然の成り行きだ。ただし、自分と家族の生活を考えたら、感傷に浸っている暇はなく、一日でも早く倒産の残務整理を済ませて、能力を評価してくれる会社に行くのが当然だろう

▼政府は「再チャレンジ」しやすい社会の形成を進めている。親友が身を投じている印刷業界も、我々の建設業界も逆風が続いて、生き残りに必死だ。自社の業績が不振となり、倒産などで失職したとしても、再チャレンジへの最後にして最高の手段は「個人の能力」を磨くことなのかもしれない

▼過日、その親友と酒を酌み交わした。再就職で管理職のポストではなくなり「人をまとめる責任からは開放されたが、早く売上げで結果を出さないと居場所が確保できない」と、再チャレンジの厳しさ吐露していた。ただし、そんな弱気に見える言葉にも、長年の経験と実績に裏打ちされた個人の能力が見え隠れしていた。(東京・HS)

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