コラム

2007/05/21

数値化できないもの(東京・UT)


▼本来ならば数値化できないものを、あえて数値化する。そのうえで数値化できるものと合わせて総合的に評価する。入札契約における「総合評価方式」のことだが、考えてみると、私たちの身の回りには、この方式があふれているのではないだろうか

▼すべからく知らず知らずのうちに総合評価をしていると言ってよいのかもしれない。例えば、一生に一度の買い物をする時、人生で重大な決断をする時、人をみる時など。程度の違いこそあれ、数字だけで判断するというよりは、どこかで数字にできない部分も勘案しているに違いないと思うが

▼評価の項目は千差万別だ。「信頼感」や「過去の実績」「プロセス」など価値観等によって無限大だろう。あるいはもっと単純に、「好き嫌い」や「直感」が大きなウエートを占めている場合もある。また「友人のアドバイス」こそがポイントになるという人もいるのでは

▼こうした評価の仕方は、まったく私的な一個人としての場合は何ら問題ないだろうが、公共性をおびればおびるほど、説明責任が求められ、恣意性の排除を徹底しなければいけないだろう。「好き・嫌い」といった感覚的な評価は、不正の温床になりかねず、公平を前提とする「公共」の概念になじまないからだ

▼「民間」では普通にやっていることを「公共」に落とし込む。一見して単純そうに見えるが、実は大変難しいこと。公共工事の入札では、市民にとって最も有利な申し込みをした会社が落札する仕組みが肝要だ。理想の公共調達について考えることは、社会の物事に思いを馳せることにつながっていると言ったら大げさだろうか。(東京・UT)

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