コラム

2007/06/26

医療ミスと労働時間(茨城・KI)


▼医療ミスや医療過誤についての記事が新聞や雑誌などでよく取り挙げられている。信頼している医師による過失で家族を亡くした人たちにとっては、実にやりきれない思いでいっぱいだろう。統計によると、訴訟件数などもここ10年で倍増しているという

▼医療ミスとともに社会問題になっているのが深刻な医師不足だ。東京や大阪などの都市部には多くの医師がいる。一方、地方では医師不足に陥るといった地域間格差が顕著に表れている。島根県の壱岐島では今春、常勤の産婦人科医がいなくなった。島で出産する妊婦は、本土まで行かなければならないのだ

▼そして、この医師不足は、医療ミス発生の一因にもなっている。長時間労働による疲労が医者本人の集中力や注意力を散漫にさせることは目に見えて明らかだ。これでは、迅速かつ適正な処置は難しい。患者は時を選ばない。いつ何時、運ばれてくるのか分からない

▼厚生労働省の研究機関である国立保健医療科学院が昨年、医師の勤務状況調査を実施した。勤務医6650人に行った労働条件に関するアンケートによると、勤務時間は週平均で63・3時間にものぼる。診療科目別では産婦人科が最も長く、次いで小児科、外科という順

▼地方の病院で勤務医をしている友人がいる。その友人によると労働時間は平均で週に60〜80時間、当直になると連続32時間勤務もある。それを聞いて絶句した。彼の健康状態のほうが心配になってきた。日本は、言うまでもなく高齢社会である。今後も負担の増大は予想される。当然、医師以外に看護師の労働条件も過酷だ。早急な改善、改革を期待したいところだ。(茨城・KI)

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