コラム

2007/07/05

民間事業に活躍の場(群馬・HI)


▼公共事業の入札において、一般競争では参加者が集まらず、指名競争では全社辞退による理由で、入札の中止が相次いでいる。理由は明らかだ。予定価格が低い(安い)のだ。昨今、建設企業は高い材料と高い労務を背景に積算しているが、この数値と役所が算出する予定価格に大きな開きがあるのだ

▼指名競争入札が中心だった過去の時代における公共事業では、1工事ごとの利益ではなく、年間という大きなスパンで利益を考えていた。そのため難工事等割に合わない工事も、役所の顔を立てたり地域を代表する建設業の自負で受注していた。次第に公共事業の競争が激しくなり、民間受注の比率が高まると、選別受注を余儀なくされるようになった

▼工事の現場責任者は、何とか担当する工事から利益を出そうと日夜知恵を絞っている。工程管理の工夫による工期短縮など、小さな努力の積み重ねで何とか会社に利益をもたらすことができても、落札した価格が予定価格に近ければ「談合だ」と世間は言う

▼逆に発注者の理解を越える発想で、予定価格を大幅に下回る低価格で入札すると同業者からは「ダンピング」と言われる。公取委からは、安値受注により他社の事業活動を困難にしたとして、独禁法違反(不当廉売)の恐れがあると言われる始末。どうすれば良いというのだ

▼出来映えなど、各建設企業が持つ技術力が試される本来と違う所で評価されている公共事業。今では民間事業者の方が、技術や施工実績を高く評価することも多く、やる気のある建設企業にとって活躍の場は多い。民間需要の増加とともに、建設企業が公共事業から去っていく。(群馬・HI)

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