2007/07/19
青春橋・田中賞の意味(群馬・KT)
▼18年度社団法人土木学会田中賞で群馬県嬬恋村運動公園と嬬恋村立西中学校を結ぶ歩道橋「青春橋」が受賞した。県内に架設されている橋梁では平成4年に碓氷三橋(碓氷橋・赤松沢橋・遠入川橋)以来、15年振りの栄誉だ
▼田中賞は関東大震災後に帝都復興院初代橋梁課長として、永代橋や清洲橋などの名橋を生んだ、橋梁・構造工学の権威者である故田中豊氏に因んで昭和41年に創設されたもの。橋梁・鋼構造工学での優れた業績に対して送られる権威ある賞である
▼今年は青春橋のほか、ベトナムのバイチャイ橋、第二名神高速道路の近江大鳥橋、JR東日本の天間川橋梁、長崎県の新西海橋、第二東名高速道路の内牧高架橋の5橋が選ばれた。いずれも大型橋ばかりで、青春橋のような工事費1億円に満たない歩道橋が選ばれることは珍しい
▼青春橋は技術提案型で設計施工を一括で発注。従来の自碇式上路PC吊床板橋を改良した「自碇式下路PC二重張弦構造」という構造を採用した独自性のある橋梁だ。「新しい構造形式が今後の橋梁技術の発展に大きく貢献する」との受賞理由となっている
▼小額の工事費で、小規模の橋梁であるが、新たな技術を採用し、設計施工された青春橋が権威ある田中賞を受賞したことは一つの契機となるに違いない。大きな進歩でさえあり、期待も大きい
▼施工技術の研鑽が図られることで、独自の技術が誕生し、公共事業量の減少により、低迷している建設業界が活気付いていくことを願ってやまない。「青春橋」は嬬恋村立西中学校の生徒たちが命名した。文字通り明るい将来のイメージにぴったりである。(群馬・KT)