コラム

2007/07/27

ハングリーを乗り越える(茨城・KK)


▼うれしいニュースが飛び込んで来た。先週18日行われたプロボクシング世界フライ級タイトルマッチで、内藤大助選手が3度目の挑戦、32歳10か月の高齢で念願のチャンピオンベルトを腰に巻いた

▼相手は過去2度敗れているタイのポンサクレック・ウォンジョンカム選手。5年前の初挑戦では初回わずか34秒で失神。屈辱的惨敗に「ショックで眠れず、睡眠薬を使ったほど。立ち直るのに何カ月もかかった」。トラウマを振り払って挑んだ一昨年の再挑戦は負傷判定負けに終わる

▼ボクサーのファイトマネーの低さはよく知られる。4回戦ボーイで6万円、6・8回戦選手で10万円程度、10回戦に上がって15〜20万円と言われる。税金、諸経費を差し引かれると手取りは約半分。ジムによってはその何割かをチケットで支払うため選手は友人、知人の協力で現金化する。ほとんどの選手がアルバイトで生活費を稼ぐ。内藤家の月収も12万円とハングリーそのものだ

▼内藤選手は謙虚で正直な人柄だ。興行である以上、試合ぶりが派手で大言壮語するタイプが受けるのは当然だろう。日本タイトル戦で王者側の試合報酬が50〜150万円。その幅は選手の人気の差による。過去の完敗と内藤選手の地味なキャラクターゆえか、今回のファイトマネーは1万ドル(約122万円)と世界戦挑戦者としては異例の低さだ

▼「人生を変えろ」リングサイドで檄(げき)を飛ばす解説者氏。ハングリーを乗り越えて大金星を射止めた内藤大助選手。努力は当然だろうが徹底した研究心と最後までその戦法を貫けたことが勝因だろう。快挙に勇気づけられた人も多いに違いない。 (茨城・KK)

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