コラム

2007/08/10

スローフードから考える(茨城・KK)


▼テレビをつけると料理番組、有名人推奨の各国料理店の紹介特集などが次々に飛び込んで来る。今の日本は、おそらく世界で最も豊富な種類の食品と食材が供給されている「豊食大国」、「飽食大国」かもしれない

▼1986年イタリア北部ビエモンテ州ブラという田舎町で産声を上げた「スローフード運動」。大手ハンバーガーチェーンが地元に出店したのがきっかけで、その土地の伝統的な食文化や食材を見直そうという機運が盛り上がった。日本でも2000年頃から浸透し始め、2004年10月、スローライフ・ジャパンが設立された

▼江戸時代の食生活は「五里以内でとれた物を食べれば体に良い」という格言もあり、事実、おおよそ地元産の食材が中心になっていた。近所で生産された物ならば、生産方法、生産者は明らかで、ラベルの貼り替えなどに神経をとがらせる必要もない。当時の人々は新鮮で良質な食材、旬の物を味わうことができた。江戸時代はスローフードの元祖と言えるかもしれない

▼1970年代の「企業戦士」、「モーレツ社員」が流行語になった時代から、1990年代のバブル経済の崩壊を経て、現在でもIT化の進行で、暮らしと仕事のあらゆる領域でスピードや効率を求める勢いが加速するばかり。コンビニ弁当や冷凍食品を電子レンジでチンするのが当たり前の毎日を生きている

▼英語の『economy(エコノミー)』には「経済」のほかに「節約」の意味がある。歴史は経済という名の下に戦争を繰り返し、環境破壊を続けてきた。今までとは違う心豊かな、ゆったりしたスローな生き方を、今こそ求める時期かもしれない。(茨城・KK)

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