コラム

2007/08/23

能ある鷹は爪を隠す(埼玉・YW)


▼北海道の富良野地方を旅行した。評判のラベンダーが色美しく咲き乱れ、まるでその美しさを競い合い、美しさをひけらかすかのようだ。「我が世の春ならぬ夏を謳歌していた」。花は見る者を楽しませ、心を和ませ、美しさを存分に見せつけてくれる。ちょうど、桜が短期間のうちにその美しさを表してくれるのと同様に

▼しかし、人間の才能についてはどうだろうか。島国で平等意識が強く、謙虚な方が美しくとられている。こうした国民性の中で生まれたのではないかと思われるフレーズがある。「能ある鷹は爪を隠す」

▼この意味は、本当に能力・才能の有る人は、普段はその才能を現さないといった意味でとらえられている。お役所で小耳にはさんだ、「あの方は切れ者、切れ者を見せないことが見せつけられるより難しい」との言葉。つまり、「本当の切れ者は切れ者であるかのようには振る舞わない」ということで高く評価し、感心していたことを思い出した

▼一般的にはどうしても、自らを美しく見せかけ、自慢ねたを大きく聞かせようとする習性がある。昨年から続く話題のIT企業社長の逮捕、テレビ局乗っ取り騒ぎなどは代表的で、自らを大きく見せようとし、美しく着飾って、経理を着飾って虚偽を重ねた。人としての品格を微塵も感じさせない

▼本当に才能のある人は、派手にその才能を見せつけるようなことは決してしないものだ。地道だが、目指すものに着々と履行していく人にこそ本当に才能を感じる。富良野のラベンダーも良いが、路傍に咲く、名も知れぬ、素朴だが美しい花に心いやされる事は多い。そうした才能は美しさに共通する。(埼玉・YW)

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