コラム

2007/08/30

続・縁の下の舞(新潟・KY)


▼7月16日に発生した新潟県中越沖地震。地震により大きな被害を受けた新潟県柏崎市などでは、直後から多くの人が懸命に復旧作業にあたった。被災後の救助活動、物資輸送を確保するための道路、水道、ガス、電気などライフラインの復旧作業や、今後の本格的な復興において建設業界の役割は大きい

▼2年前になるが、本欄で「縁の下の舞」というコラムを書いたことを思い出す。地震等による被災現場では、人命救助のレスキュー隊の救援活動などが大きく報じられる。一方ではその現場に向かうための道路の復旧などに携わる建設業の活躍は、なかなか一般に伝わらない。これを「縁の下の力持ち」の由来とされる「縁の下の舞」の話に重ねた

▼今から約1400年前に聖徳太子が建立したといわれる大阪市天王寺区の四天王寺にある太子殿の庭先で、お経の供養として行われた「縁の下の舞」。舞楽などの際に、堂上の貴人や観客には見えない場所で一生懸命踊っても見てもらえないことを意味する「垣下(えんが)の舞」。これがいつしか「縁の下の舞」に変わり伝えられたといわれている

▼当たり前のようだが、災害により被害が発生すれば、復旧する。さらに災害による被害を未然に防ぐための対策工事なども、見えないところで我々の生命や財産を守っている。そこには必ず、現場で尽力する作業員の姿がある

▼この地域を守る建設業が、年々減り続ける公共事業費、低価格への誘導などにより力を奪われている。目立たないが、無くてはならない「縁の下の舞」を一市民として、決して忘れてはいけない。いつか必ず真摯なスタンスが報われると信じている。(新潟・KY)

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