コラム

2007/09/28

心の感情と銭勘定(茨城・KK)


▼いざなぎ景気を越えたなどと景気の堅調さが巷間言われている。しかし地方、とりわけ中小企業にあっては厳しさは増すばかりというのが実感ではないだろうか

▼統計上の数字が実態に合わないことはよくある。日本の世帯の平均貯蓄は約1700万円とのこと。「冗談だろう?」。こういった声が庶民の率直な実感では。一部の大金持ちが平均を押し上げているのは言うまでもない。最も多い分布は200万円以下の世帯で全体の15%を占める。統計は正確でも、平均と最多分布の隔たりからよく起こることだ

▼ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』、『食い逃げされてもバイトは雇うな』(光文社刊)で知られる公認会計士・山田真哉氏は「感情に流されずにきちんと損得を考えるべき」と訴える。彼は大学卒業後、予備校講師の経験がある。時給3000円というと相当稼げるイメージだがそうではない。1時間の講義のために数時間の準備が要る。しかも1日に2、3時間の授業しか出番がない。月収にすると決して恵まれた報酬ではなかったと振り返る

▼スーパーでの買い物で、食料品の5円、10円の違いにこだわることはよくある。人によっては交通費、ガソリン代をかけてもということも。それに対して家電品など比較的値の張る買い物になると1、2万円の差など気にならなくなるのは不思議なことだ

▼会計学では「数字はあくまでも数字でそこに感情は入ってはならない」と山田氏。「名を捨て実を取る」とよく言われる。企業経営や家計管理に、言葉は悪いが「心の感情より銭勘定」という見方も時には必要なのではないだろうか。  (茨城・KK)

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