コラム

2007/09/10

風評被害の恐さ(新潟・KK)


▼最大震度6強を記録し、新潟県柏崎市を中心に大きな被害を及ぼした中越沖地震では、震災後1カ月が経過し、本格的な復旧・復興に向けた取り組みが進んでいる。余震の回数が減り、仮設住宅への入居も始まるなど、被災地は落ち着きを取り戻しているが、住宅再建や生活再建に向けた取り組みはこれからが本番となる

▼中越沖地震は、地方中核都市の中心市街地を直撃し、住宅や商店街等で建物被害が多発したことに加え、原子力発電所も被災し、操業を停止した点が大きな特徴。被災した柏崎刈羽原子力発電所は、世界一の発電規模を誇る。その原子力発電所を地震が直撃し、黒煙を発する映像等が必要以上に全世界に発信されたこともあって、被災地域を含む新潟県全体が大きな風評被害を受けてしまった

▼被災地では本格的な海水浴シーズン直前に「危険」であるとの風評被害が広まり、宿泊施設等の予約キャンセルが相次いだ。さらに、被災地から地理的に遠く、地震の被害を全く受けていない地域でも観光客が激減する事態へと至った

▼地震に見舞われた被災地への旅行を避けたい感情は理解できる。しかし、3年前の中越地震でも大規模な風評被害を被った新潟県では、観光振興に力を注ぎ、交流人口の拡大に光明が見え始めた矢先に悪夢が再来した形である

▼震災からの復旧・復興には地元の経済活動の再建が必要不可欠。特に観光地では従来通りに観光客が訪れることが最も大切で、何よりの支援になる。勇気付ける意味でも、新潟を訪れ、元気に頑張っている姿を一人でも多くの人に見てほしい。微力ながら、筆者もその一助となるよう協力したい。(新潟・KK)

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