コラム

2007/09/21

悲喜こもごもローカル鉄道(茨城・MK)


▼茨城県は、存続問題で揺れているローカル鉄道の茨城交通・湊線(勝田〜阿字ヶ浦間14・3?)について、地元のひたちなか市民3000人に聞いたアンケート結果をまとめた。回収率は約78%。それによると「湊線存続のための基金に協力する」とした住民は全体の約61%。「運行本数を増やせば湊線を利用する」は約32%だった

▼湊線の存続が問われているのは、各地のローカル路線とたがわず、経営が厳しいからに他ならない。湊線は大正12年開業と歴史は古く、勝田(常磐線)と那珂湊・阿字ヶ浦海岸を結ぶ鉄道として活躍してきた。しかし、徐々に利用者が減少

▼アンケートでも、湊線沿線に住む人で週に1回以上利用しているのは、全体のわずか5%。それどころか「利用したことがない」との回答は約25%を占めた。利用しない理由では「自動車よりも時間がかかる」が約42%、「運行本数が少ない」が約13%。移動手段がほとんど車である地方ならではの結果といえる

▼一方で湊線存続基金には、64%が「協力しても良い」と回答。ほとんど利用していないが是非存続してほしい、という複雑な気持ちを反映しているのだろうか

▼県では、湊線が存続する場合と廃止されてバス代替となる場合それぞれの費用対効果分析も行った。それによると、30年間の純便益(総便益計ー総費用計)は、存続の場合は約35億円、バス代替の場合は約6億5000万円。存続へは税金の投入が避けられないが、税金の投入額を少なくするのか、渋滞や環境など地域社会全体の費用を考慮した選択をするのか。県、市、茨城交通(株)による協議の結果が注目される。(茨城・MK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら