コラム

2007/10/01

妊婦搬送と医療体制(新潟・TH)


▼妊婦の救急搬送中での悲劇がまた起きてしまった。陣痛を訴える女性が10の病院に受け入れを拒まれ、死産になった。近くの県立医大病院に受け入れを頼んだが手術中で、他の病院からは処置中や満床などを理由に断られた。このように妊婦がたらい回しされているケースが各地で相次いでいる。産科医や施設の不足など、医療現場での問題点が浮かび上がっている

▼現在、医療機関においては医師不足が深刻化しており、大変厳しい状況に置かれている。特に産科医は、昼夜を問わぬ過酷な労働条件や他の診療科に比べ高い訴訟の割合などの問題があるため、なかなか希望する者がいないのが現状。医師の確保、救急搬送システムの整備など、現在の医療体制を解消する対策が早急に必要だ

▼一方、以前6つの病院が連携し、4つ子の赤ちゃんを救ったといううれしいニュースもあった。4つ子は仮死状態であったが、スムーズな支援体制が事前に準備されていたことで、尊い幼い命が救われたという

▼4つ子が生まれた兵庫医科大学病院では、新生児集中医療室(NICU )を専用として出産に備えるため、この間、同病院のNICUに代わって、県内の5つの病院が連携し、切迫早産などの妊婦を受け入れる救急体制をしっかり取っていたという。医療機関の見事な連携の成果だ

▼社会問題化して、ようやく行政も妊婦の救急搬送時に備えた支援システムを整備する動きがでてきた。安心して出産できる医療体制でなければ、ますます少子化が進んでしまう。元気な赤ちゃんの産声をひとりでも多く聞ける、しっかりとした医療体制の整備を今後期待したい。(新潟・TH)

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