コラム

2007/10/19

歩行者優先の道路整備(茨城・SI)


▼先月20日午前7時20分ごろ、山形県の市道で集団登校中の小学生8人の列に乗用車が突っ込み、小学生2人が死傷した。「またか!」と思う反面、どこか他人事に感じている自分に気付く。こうした痛ましい事故が全国で後を絶たない。抜本的な対策はないのだろうか

▼事故現場となった市道は、見通しの良い直線で歩道は未整備だった。片側に沿って用水路が流れ、設置されていたのは落下を防ぐガードレールのみ。車は、子供たちをはね、反対車線のガードレースに激突。容疑者の運転手は、警察の調べに「よそ見をしていた。気付いた時には目の前に子供がいた」などと話したという

▼この運転手の前方不注意には弁解の余地はない。ただ、人間であれば誰しも過ちを犯すもの。完璧を求めるのは酷なことだ。事故を未然に防ぐには、運転者のモラル向上はさることながら、車と人をいかに分離するかといった視点からハード面の対策を講じる必要があるだろう

▼従来の道路整備は、通行車輌の増加に伴う交通渋滞の解消を目的に行われるのが常。歩道設置は、あたかもその付属的なものといった感覚で人間は後回し。そこには、将来に向けたビジョンも想像力も皆無。対策は後手後手に回り、歩道が未整備の狭隘道路が数多く残されている

▼幣紙でも今年1年間を通じて公共事業の安全キャンペーンを展開している。第3回目(6月)のテーマとして「交通安全施設の備え」を取り上げた。公共事業費がピーク時の半分にまで落ち込んでいるとはいえ、歩行者の目線に立ち最優先で予算付けをし、整備を急ぐ必要があるのでは。痛ましい事故はゴメンだ。(茨城・SI)

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