コラム

2007/11/09

やり直しのできる社会に(茨城・KK)


▼このほど、茨城県教育委員会が、来年度の公立学校の教員採用試験結果を発表した。今回からスポーツ実績、他県での教員実績、国際貢献活動経験などを優遇する特例措置を適用、受験の年齢制限も34歳以下から39歳以下に緩和され合計54人が合格した

▼多くの若者が不安を抱えている。今やフリーターは全国で450万人とも言われ、その数は今後も増加が予想される。2005年度、進学も就職もしないで卒業していった高校生は10万人、大学生は12万人のものぼるといわれている

▼数年前までは、フリーターの問題は若者の意識に原因があると考えられてきた。しかし「フリーターはいけない」と否定的に論じる一方で、企業は正社員の採用数を減らし、フリーターを雇い続けてきた。国もそうした動きを本気で改めようとはせず放置してきたのでは

▼近年、アメリカでは「キャリア教育」が盛んだ。連邦および州政府は中学や高校、大学、コミュニティ・カレッジの職業訓練への助成金を年々増額しており、米政府からは年間19億米ドルが拠出されている。就職や求職に必要な仕事の技能に加え、職場で必要な倫理教育もカリキュラムに含まれ、若者や成人が職に就けるような教育を推進している

▼「定職に就きたい」(64%)、「独立・起業したい」(18%)に次いで「改めて教育や研修を受けたい」(10%)と現在はフリーターでも若者の勤労意欲は決して低くない。先の教員採用試験の特例、年齢緩和などは再チャレンジを目指す人の大きな励みになるだろう。意欲のある人が経済的、年齢的な条件に左右されずにやり直しのできる社会の実現を望みたい。(茨城・KK)

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